専門家/エキスパートが海外展開の救世主になる?

海外展開の専門家

専門家の斡旋をする企業と話して分かったこと

先日、エキスパート人材あるいは専門家の派遣を行うというある企業から、エキスパート人材として登録し、海外販路の開拓を目指す中小企業でコンサルをしませんか?という誘いがありました。話を聞いてみると、月2回、各1時間程度で月次25万を請求し、その会社とコンサル側で折半するのだとか。コンサルのレベルにより報酬は異なるが、上記の事例は大企業の幹部経験者クラスの報酬とのこと。

確か以前に、とある経営コンサルタントが「元締めに半分持って行かれる」と嘆いていたのを思い出しました。これくらいの報酬配分というのは決して珍しくないのかも知れません。

コンサルティングの成果で販路を拡大?

しかし個人的に驚いたのは、月次2時間という時間設定です。1回1時間ということですが、その1時間の枠の中で依頼企業のニーズや製品の特徴を理解するところまで至らないであろうと推測されます。ということは依頼者の状況把握もそこそこに、過去の成功事例などを語ることになるのでしょうか?その場合、依頼者のニーズと提供するサポートのギャップはどうやって埋めるのでしょうか?

大企業の海外事業部長クラスの百戦錬磨の猛者ならば、短時間に業界の特性や製品の強み、弱みを把握し、一瞬にして強烈なインパクトを残すことができるかも知れません。であれば時間にかかわらず25万でも安いものです。しかし果たして経営基盤の強固な大企業での経験が依頼企業に適用できるだろうか?という疑問もあります。

実務の担い手はやっぱり必要

もちろん、私自身がそのコンサルティングを受けたわけではないので、善し悪しを決めつけることはできません。ただ言えるのは、仮にそのコンサルティングが素晴らしい内容であったとしても、それを実行する海外営業要員は不可欠です。

実は中小企業で国際実務を担当する者の作業負荷というのは、決して軽くはありません。少人数でメールや電話の対応、問い合わせやクレームへの対応、インボイスやパッキングリスト等の貿易実務、英文契約書の作成、ホームページの英文記事の更新、英文取扱説明書の作成、英文パンフレットの作成、等々、枚挙にいとまがありません。もちろん、経験あるブレインのアドバイスも重要ですが、海外展開の実行部隊の体制作りも軽視はできません。

グラビティでは、海外展開や海外販路開拓のアドバイスだけでなく、現場の最前線に立つ実行部隊を提供することで、クライアント様の海外販路開拓の負担を軽減します。

実務とノウハウの両面からクライアント様を支える海外展開支援に関心のある方は、公式ホームページよりお問い合わせください。

海外営業に翻訳業者を使うときの注意点

海外営業に翻訳サービスを使う場合の問題点

翻訳業者の料金は安い?高い?

先日、海外の物販を手がけられている方から「ほんの少しの文章なのに、翻訳料がすごく高かった」というお話をうかがいました。翻訳料は通常、英日の場合で1単語いくら、日英の場合で1語いくら、という料金設定です。おおよそ1文字10円~20円程度の業者が多いのではないでしょうか。

単価で見るととても安く見えるのですが、実際には、たった3行で軽く100文字を超えてきますから、たったの3行、つまり、ものの3分~5分で書き上げられる文量で1,000円以上です。さらに業者にミニマム料金の設定がある場合は、これよりも高くなります。

海外販売のメールを翻訳業者に委託したら

たとえばこれが海外への物販におけるメールの文章だったとすると、相手を長く待たせるわけにはいきません。翌日仕上げに特急料金が設定されていたりすると、通常料金の1.5倍くらいにはなりますから、3行の文面で相手を1日待たせて1,500~2,000円程度かかるわけです。これを英日/日英の往復でやったとすると、一回のやり取りで3,000円程度かかることになります。たった3行でこれですから、突っ込んだやり取りになれば、この2倍や3倍、つまり1往復で6,000円~9,000円にもなってしまいます。

海外対応のサポート体制

さて、海外に販路を拡大するとなると、やはり、語学の堪能なスタッフを採用して常時対応できる体制を作る方が安心だと思いますし、結果的には、費用的にもその方がベターかと思います。しかし、大変失礼かとは思いますが、語学力が十分でない経営層の方々が、どうやって面接する人間の語学力を査定し、採用するのでしょう?

英語力は履歴書上の資格では見抜けません。英検一級を持つ私が断言します。こんなことを言ったら怒られるかも知れませんが、あの試験で本当の英語力、あるいはコミュニケーション力が正しく量れたとは到底思えません。履歴書に書かれた留学経験とか、資格とか、外資系企業での就労経験とか、それらは複数ある指針の1つであって、本当のコミュニケーション力は話してみないと分からないものだと思います。その意味では、新規に海外販売を目指そうとする経営者が本当にデキる海外営業担当に出会うというのは、かなり難しいことだと思います。

翻訳の品質は大丈夫?

かなり手広くやっている翻訳業者で、産業振興協会のような組織とも取引がある会社が作成したパンフレットを見せてもらったことがありますが、衝撃的な出来の悪さに驚いたことがあります。日本語の原文で「メリット」と書かれているところが、そのまま「merit」と訳されています。しかしその原文が本当に訴えんとするところからすれば「advantages」とした方が、他社製品との比較における利点を強調できます。聞けば、ネイティブによる英文校正が入っているとのことですが、その割には誤字も見受けられました。考えてみれば、欧米以外で英語を母国語とするアジア圏の国もありますので、ネイティブによる校正は、あながち嘘ではないのでしょうけど、英文に勢いがなく、明らかに「読ませる力」を欠いています。

極端に翻訳料金が安い業者が「ネイティブ校正が入っています」と謳う場合、明らかに、国際的に見て人件費が破格に安いエリアのネイティブであることを疑った方が良いでしょう。でなければ、そのような格安の値段設定など不可能であるからです。

その一方で、まじめな日本人が一生懸命書いた英文が良いとも限りません。残念ながら、きちんとした英語の資格を持つ人が手がけた翻訳でも、いかにも翻訳臭い、お勉強英語のにおいがプンプンするぎこちない英文であることが少なくありません。私はかつて文章の中に「need」という単語を使って、日本人の上司に「needs」に直しなさいと言われた経験があります。カタカナでは「ニーズ」という表現が浸透しているために、ニードは間違った表現であると思い込んでいるわけです。単独の必要性について論じている場合は、needとすることに何の問題もない、というかむしろその方が自然です。しかもそういった品質は英語の資格試験でも評価されにくく、当然、翻訳の依頼者にも見抜けないことが多いと思います。なので、自社の海外営業活動や販売活動に翻訳業者を活用するというのは、簡単なようでそうでもないのが実情ではないでしょうか。

国際コミュニケーションの外注

グラビティではメール、電話、対面の国際コミュニケーション支援をサービスとして提供しています。私達はクライアント様との業務を通じて技術や競合製品に対する知識や理解を深めていきますので、個別に翻訳や通訳を依頼するのに比べると、相手への説得力の違いは明確で、御社の直属の営業担当と同等の仕事をすることが可能です。

グラビティの海外展開支援/販路開拓支援の詳細は、公式ホームページにてご確認いただけます。

国際クレーム対応

海外企業から、グラビティがお手伝いしているクライアント企業様に対してクレームがありました。冷静に事実を列挙し、主張と根拠を明らかにして対応しましたが、相手を論破してはなりません。むしろ相手に寄り添う意思を明確にするために、説明文の最後には次のように加えました。「ここまでが我々の主張です。もし異なる考えをお持ちでしたら、どうかお聞かせください。御社の事業がスムーズであることこそ、弊社の重要事項なのですから」と。

結果、クレームの相手からは「誤解をしていたようで済まなかった。御社の提案通りに対応する」との回答をいただきました。クレーム対応では、誠意と冷静な行動力が試されます。一歩間違うと収拾が困難なまでに状況を悪化させるリスクがあるだけに、対応は容易ではありません。しかし、逆に的確な対応を取れば、むしろ相手からの信頼を飛躍的に向上させることも可能です。クレーム対応はクライアント企業様とグラビティとの共同作業です。こだわるべきは、勝った負けたではなく、両社にとってのより高い次元の目標達成のために何が必要か?ということです。長期的な信頼を勝ち取るために、何ができるかを考え、提案できなければなりません。その意味では、とても意義の大きな業務の一つと言えるでしょう。

英文契約書の効力

英国へ輸出した製品がヒースロー空港で止まりました。フォワーダーがそれ以上仕事を進めるためには、顧客からそのフォワーダーが通関業務を行う代理人であることを示す書類を得なければ動けません。後日、現地での据付調整を控えたこの機械が空港で足止めされるのは、極めて重大な事態です。しかし相手側の担当者が誰なのか、明確な回答が得られないまま時間だけが過ぎていきます。

そこで相手先の担当へ向けて、次のようなメッセージを送ります。

  • 空港で荷物が停滞すれば、一日あたり、重量(キロ)あたりのチャージが発生する。
  • 陸送の手配もルート便でなくチャーター便となり、高額になる。
  • 据付調整に行った際に機械がなければ、再渡航しなければならず、高額な費用が発生する。
  • 相手側の生産工程が狂い、会社の信頼と利益に甚大な影響が出る。

そして決め手になるのは次のコメントです。

「御社との契約書には、我々は輸送時の遅延に対して一切責任を負わないことを明記している。もし遅延によって損害を生じれば、全て御社の責任と費用において対処しなければならない。したがって本日〇月〇日中に対応いただくことを強く推奨する。」

このメールによって、受け手の会社はたちまち動き出しました。

このように、相手に対して、絶対的に外せない期限を示した上で強いメッセージを発することは大切ですが、その前提として、販売者が不必要な損をしないよう契約書を仕込んでおく必要があります。

グラビティでは弁護士事務所と提携しており、クライアント様を守るべく多面的に活動します。英文契約書の作成は、そういった活動の一部です。関心のある方はご相談ください。

ウィスコンシンの小さな展示会

4月4日に米国の地方で開催された小規模の展示会から帰国し、本日の時点で既にその展示会で対話した顧客からの注文が2件決まっています。

(写真は滞在期間中に訪問したウィスコンシン州会議事堂です。展示会場ではありません。)

小学校の校庭ほどしかないホテル併設の展示会場で出会った潜在顧客が、数的にも質的にも大規模の国際展示場に勝っていたことに驚きを隠せません。私自身、国際展示会は多く経験していますが、名刺の数だけが多く、注文に直結しそうなビジター数は以外にも多くないことも少なくありません。

著名な国際展示会では観光まがいのビジターも多いですが、仮にこちらの製品に適合するビジターであっても、現場には詳しいのに一切決裁権を持たなかったり、決裁権は持つのに現場は全然知らなかったりして、出展物の本当の良さが受注に結びつかないケースがあります。またそういった国際展示会場では、自社にちょうど良い身の丈のあった製品よりも、世界的に見て突出した製品にのみ目が行きがちになるので、小規模の事業者にとっては難しい面もあります。

今回のローカル展示会では、現実的な目線で製品の導入と、それによる人件費の削減を計算できる中小企業の意思決定者との積極的な対話を多く持つことができました。

それだけではありません。この小さな展示会で、とある製品の生産量においては世界最大規模の企業がブースを訪問してくれて、製品を大変に気に入ってくれました。(過去に弊社ブログで案内した世界最大の企業とは別の企業です)。タラレバの話をしたらキリがありませんが、この顧客が製品を購入するとすれば、規模から考えて、一台であるはずがありません。

またこの展示会では、クライアント様の製品が受け入れられるいくつかの要因を分析することができました。どの国のマーケットを開拓するかを考えるとき、製品の機能、価格、といった目につきやすい要素の他に、経済的背景、文化的背景が大きく関与することをあらためて思い知らされました。関心のある方は、ご相談いただいた際に詳しくお話しさせていただきますが、同じ製品でも、ある国では全く受け入れられず、ある国では爆発的に受け入れられる、といったことが起こります。その見極めがうまく行けば、どこを攻めるべきかが見えてきます。そこが海外マーケティングの醍醐味なのかも知れません。

ところで、今回は半日ほどの空き時間ができたので、ウィスコンシンのマディソンにある、ウィスコンシン州会議事堂を訪問しました。海外出張は通常、短期間にイベントが詰め込まれていてこのような時間が取れることは少ないのですが、個人的には現地の文化に触れることは、とてつもない価値があると思っています。

たった一度、現地の代表的な場所を訪問するだけで、その後の現地の人達との話の弾み方が全く違ってきます。「どこぞの日本人」ではなく、自分たちの文化に歩み寄ろうとする海外からのアンバサダーになれるのです。

ウィスコンシン州会議事堂は外観も内部も威厳に満ちた建物です。建物の中には南北戦争の戦死者をたたえる碑のようなものがありました。帰国してから調べて分かったことですが、ウィスコンシン州は南北戦争の北軍に91,379名を送り出したとのこと。米国では、自由とは元来戦って勝ち取るもので、手放しで与えられるものではない。その意思と犠牲に対する敬意が深く根付いているように思います。

こうした訪問は、今日明日にどこかで役に立つわけではありませんが、人生をより味わい深くするのに役立ちます。こういったチャンスは多くはありませんが、この仕事の特権かも知れませんね。

英文契約書

海外顧客との契約において、自社の提示する契約書が法的な観点から妥当であるかは大切なポイントです。

また海外の顧客から提示される契約条件が不平等であることも、決して少なくありません。相手に悪意がなくとも、最大限自社に有利な条件を勝ち取ろうとするのは自然なことなので、強気の提示をしてくることが多いように思います。黙って見過ごすと、後でとんでもない条件を受け入れていたことになっていた、なんてこともあるので注意してください。

英文契約書は単にこなれた翻訳者が英文を作れば良い、というものではありません。販売後のリスクに備えるためには、法的に有効な書面の作成が必要です。

グラビティでは法律事務所と提携して、単なる契約書の翻訳文ではなく、法的な視点で妥当性を検討した英文契約書を作成します。

製品は販売して終わりではなく、販売後のリスクにも備えなければなりません。グラビティでは契約書においても皆様をサポートしますのでご安心ください。

 

取引通貨のリスクについて

グラビティが支援していますクライアント様の中に為替損益を出さないよう、全ての取引を対して円建てとしているお客様がいます。特に最近の保護主義の台頭に伴って為替リスクが増大している中で、円建てで輸出できることは大きな強みです。

ですが最近、とてもイレギュラーなケースが発生しました。見積から発注までは円建てで進んでいたのが、注文が決まった直後に、相手が急にドル建てにして欲しいと言ってきたのです。

発注時、船積時、納品後の三回に分けて支払われる中で、そのいずれかの支払い時にドル円レートが円高に大きく振れた場合、為替損失を生じるリスクが出てきました。そこでドル建て価格で金額を出し直すわけですが、こちらは販売側が安全と考えるレートで換算するわけですから、相手は猛反発です。なぜこんなに高くなるんだ!現状の為替レートを見ても、過去1ヶ月のレートを見ても、こんな価格になるわけがない!というわけです。

そこでこちらも、きっちり根拠を示して抗弁します。

  • 想定為替レートの採用は輸出企業としては常識であること。
  • 輸出企業がドル建て価格を提示するとき、想定レートの話をしないだけであって、輸出入品の大半が想定レートに基づいた取引となっていること。
  • 年末のシンクタンクの調査では、日本の上場企業の4割が想定為替レートを100円に設定しており、現時点の110円程度(2月半ば現在)から開きがあるのは当然であること。
  • トランプ大統領による日銀の円誘導への批判、ブレグジットに見られる世界情勢のリスクから、逃避通貨である円が円高方向に振れる懸念は極めて強いこと。

その約一週間後、こちらの主張が全面的に認められ、こちらの主張するレートで換算した金額が振り込まれました。もしこれが認められなかったら、いずれかの分割決済で損失を生じていたかも知れません。正当な根拠に基づく抗弁はとても大切で、そういった主張は臆することなく、はっきりと言わなければなりません。

グラビティで提供するサービスは、単なる翻訳や通訳を超えた総合的な支援です。交渉の最前線に立つこともあれば、ノウハウで後方支援することもございます。ぜひご活用いただければと思います。

国際取引のリスクに向き合う

某大手国際企業からの注文書ですが、予定より随分かかって、ようやく今日発行されました。

機械の変更に伴う追加のCEマーク対応、EMC試験対応、輸出時の責任負担など、いくつかの点で詰めなければならないポイントがありました。

出荷時の責任負担については、こちらの希望は現地空港渡し、相手の希望はドアツードアで関税と消費税も売り主負担、インコタームズで言うところのDDPでした。

関税や消費税が売り主負担と言っても、その分は請求額に上乗せするんだから、どっちだって良いんじゃない?と思われる方もいるかも知れません。ところが、消費税が20%の欧州では、この税金分がなかなかの負担です。販売する機械や製品の代金次第では、税負担だけで数百万になる場合があります。

これを売り主が前払いし、到着後に製品にいちゃもんを付けられて踏み倒されでもしたら、かなりの痛手です。

今回は売り主の税負担がないDDU(またはDAP)で折り合いを付けることになりました。

こちら側が何も言わなければ、相手は自分に最も都合の良い条件を提示してくるのは自然なことです。こちら側も最も有利な条件で進めたいので、ここが綱引きになるのはごく普通のことですから、こちらも明確な態度を相手に示すことが大切です。

このクライアント様企業の場合、全取引を円建てで行っていて、為替リスクがないことは非常に大きなポイントです。英国のブレグジット、米国の政権交代など、保護主義台頭の影響もあって為替リスクは増大しているので、輸出による損失を最小に抑えるようにしなければなりません。

さて、注文書をもらった今でも、まだ手放しで喜べないのは、付随する契約条件がまだこちらに届いていないからです。理不尽な要求がないかどうかを素早くチェックしなければなりません。納品したらしたで何らかの対応を迫られる可能性がないわけではないので、結局はどこまで行っても、これで良しということはないのでしょう。

このように海外展開自体にはリスクは付きものですが、少子高齢化や国内市場の縮小などを加味して、それでも国際リスクを取らないことが果たして安全かというと、それはまた別の話になると思います。少しずつ、無理のない範囲で経験を積んでいき、対応力を増していくことは決してマイナスにはならないのではないでしょうか。

超巨大企業からの受注

本日、私がお手伝いさせていただいている僅か6名のクライアント様企業が、世界最大の株式非公開企業から仕事を受注しました。以下が決まった際のメールです。


本日中に注文書が御社へ送信されるでしょう。両社の契約条件が折り合えば、購入手続きに入ります。おめでとうございます。御社が勝ち残りました。


最初に問い合わせが入ったのが12月23日ですので、引き合いから受注まで、たったの1ヶ月です。うち、交渉が活発化したのは1月9日で、以降、毎日ほぼ5~6通のメールのやり取りがありました。全てのメールはおおよそ8名の顧客側スタッフにCCで配信されていて、うち、私が直接やり取りしたのは、異なる部門の3名です。

やり取りが本格化した直後から、いったい何なんだこのスピード感は!?という驚きがありました。時差を感じさせない怒濤の返信スピードです。

先日のブログにも書いたように、担当者が来日し、2日間の滞在期間に残していった指摘出しと解決の提案がスピーディーかつ的確であることに、さらに驚きました。そしてそれらは決して理不尽な要求でなく、良い意味での逃げ道や妥協案も提示してくれるのです。

指導を受けることが、明らかに会社の財産になるであろう内容です。今後の世界標準となり得る要求事項を無料で教えてもらえるのですから、コンサル料を払っても、ここまでの指導を受けられるチャンスはなかなかないかも知れません。

さて、ここからは実際の製作に絡むやり取りが納期まで続きます。非常にチャレンジングな取り組みになりますが、また担当の彼と渡り合えると思うと、とても楽しみです。

設立後3日目の仕事

グラビティの小平です。法人登記をしてから3日が経過しました。法務局の登記が完了するまで1~2週間待たなければならないので、まだ設立した実感がわきません。

さて、昨日と今日は2日連続で、とあるクライアント様の事務所を訪れているUKからのお客様への対応をしています。法人設立直後の最初の仕事が、世界最大の私企業の欧州支部から来日したマネージャーへの対応というのは、いかにも出来過ぎた話ですが事実です。

この会社の特徴としてまず感じたことは、これまでに私が見たどの企業よりも意思決定が早いです。ターゲットが絞られていて無駄がありません。社内の判断基準が確立されていて「ブレる」という言葉からは、最も遠いところにいる企業です。

ブレないのは確立したルーティンしかやってないからでしょ?と思う方もいらっしゃるかも知れません。ところがこの企業の場合は、全くそうではないのです。極めて短時間にとてもチャレンジングなことに取り組み難局を打開します。それをブレずにこなすのです。いや、むしろブレないからこなせるのかも知れません。

技術的な協議の途中、何度となく解決困難な課題が出ましたが、クライアント様サイドの技術者が思いも寄らない回答で、バンバン問題を解決して行ってしまう光景は圧巻でした。それも押しつけがましいところは何もなく、それでいて全力でお互いのためになる解決法を次々に提案してくるのです。もちろんクライアント様サイドの全員が人事を尽くし熱心に対応した姿勢も彼の心を打ったのか、彼もまたクライアント様を高く評価していましたが、とにかく私はこれまで彼のような人間を見たことがありません。

この人の会社は、付き合う企業、つまりサプライヤーを同志のように扱い、相手を高めようと最善を尽くすのです。あるいはその姿勢が彼らを巨大企業たらしめた要因のひとつなのかも知れません。

今回、この巨大企業にとって比較検討の対象になっていたサプライヤーの中には、私がお手伝いしているクライアント様企業の競合も含まれていました。どちらかといえば、その競合企業の方が業界では老舗です。ですが、なぜ最終的にはこちらに絞って協議するために来日してくれたのか。実はこの企業が求めていた技術は両社にありました。それでも、こちらを選んだのです。ではいったい何だったのか?

彼によれば、それは対応の迅速さと誠実さです。私はこの巨大企業からの問い合わせに対して、何のおべっかも使うことなく、他のお客様に接するのと同じように、求められたことを答え、必要な情報は質問し、そしてお客様の方式で直した方が良いと思われるところは率直に指摘しました。それを、極力相手を待たせることなく迅速に行っただけです。特別なことは何もありませんでした。

ただ一つ感じたのは、その率直な指摘出しをした直後のメールから、相手担当者、つまり今回来日したマネージャーの態度が急速に積極的に変わったことは、はっきりと記憶しています。

私と彼とのやりとりは、常にCCで8名の彼と同じ企業の方々に同時配信されていたので、誰かしかの評価が、その時点を境に積極的なものへと変わったのかも知れません。あるいは、それまでのメールは、こちらサイドとだけでなく、競合他社ともやり取りがなされていて、こちらの対応の姿勢は、常に比較されていたのかも知れません。もし私の対応が、そのような選択を彼らにもたらすきっかけとなったのなら、それはとても嬉しいことです。

来日後の対応は、逆に彼からの指摘出しに対して、どれだけ的を射た回答を迅速に提示できるかの戦いです。といっても、彼の方から数え切れないほどの助け船を出してもらえたので、苦しみながらも何とか乗り越えることができました。そして私の方も、クライアント様のメンバーと確認をしながら深夜まで議事録を作成し、夜はホテルで翻訳作業をして、翌朝には彼に対応の記録を投げ返しました。送信した30分後に「レポートの作成競争に負けたよ」と、スマイルマークと共に彼の側の報告書が添付されたメールが返ってくると、「ええ、私はお客様を負かす悪いサプライヤーですから」と、こちらも即応しました。

いずれにしても、この方とは、2日間という短期にしては考えられないような信頼関係を築くことができて、ジョークも言い合えてお互いの家族のことも話せるような間柄になれたことは、本当に私にとってはかけがえのない財産になりました。

さて、今回の協議の結果、私がお手伝いしているクライアント様の製品が採用されるかは、まだ分かりません。「結果については、感情や希望でなく、事実しか言わない」と明言してもらっているので、こちらも割り切って受け入れるしかありません。しかしここまで密度の濃い仕事をできたことは本当に幸せなことで、この仕事が与えてくれる出会いや成長につながり得る貴重な体験にも感謝をしたいと思います。

もしこの記事をここまで読んでくださった方がいたのなら、お分かりいただけるかと思いますが、私が貴重だと感じた経験は、接することができた企業のネームではなく、その中身です。その人がその企業を地で行く人なのかも分かりませんが、とにかく素晴らしい人に出会えたことを感謝したいと思います。