中小企業が海外取引先を選ぶときの注意点

Overseas Business Partners Wanted

海外取引先の開拓

海外進出といっても、特に中小企業の場合は、現地支社や駐在所を持つよりも、現地のバイヤー、あるいはディストリビューターを見つけ、現地の販促やサポートを担ってもらう方向が現実的な選択肢のひとつではないかと思います。私の経験では、これが意外に簡単ではないのです。

一例ですが、国内で開催された、とある国際展示会でのことです。当時私が海外展開を支援していた企業のブースに外国企業からの訪問があり、「ぜひ御社の製品を扱わせて欲しい!」と熱烈にアピールをしてきたことがありました。現地で製品の広告宣伝もするし、現地サポートを視野に入れて、自社エンジニアを日本に送ってトレーニングを受けさせる、というのです。このときは、クライアントの中小企業様も私も、実に良い取引先を見つけたものだ、と手放しで喜んだものでした。

積極的なバイヤーが最適な取引先とは限らない

ところがそれから一年が経ち、その間、そのディストリビューターが売った機械はたったの一台きりでした。これにはクライアント企業様も私もがっかりしましたが、その海外販売店にとっても、わざわざ2名のスタッフを日本に派遣して据付、調整、メンテナンスなどを学ばせ、さらに専門誌への広告まで掲載したわけですから、それなりに費用がかかっていることもあり、さぞ残念であったでしょう。

結局、機械メーカーであったクライアント様はその販売店との関係を解消することとなりました。彼らと直接やりとりしてきた私としては、若干複雑な気持ちになりながらも、関係解消の通達や、貸し出していたデモ機の国際返送作業を行ったものでした。メーカーからすれば、回転率が低いことは明確な問題ですので、いたしかたありません。

海外取引先が持つ既存顧客ネットワーク

その後、いくつかの海外取引先を開拓していく中で分かったことは、取引先が製造者に対して示す意欲の強さと、その取引先が現地顧客に対して持つ販売力の大きさは、全く別物である、ということです。

いくつかの取引先の中で本当に商品を多く売ることができた商社は、広告宣伝などはそれほどせず、むしろ既存の顧客ネットワークを生かして契約を決めて行くスタイルでした。つまり、既に現地で広いネットワークと強いパイプを持っていたので、不特定多数の第三者に対して広告でアピールする必要がなかったわけです。その代わり、行動力は強く、現地国内を常にあちこち飛び回ってくれました。

今にして思えば、「広告宣伝をします」というのは「広告宣伝しなければならないほど、私達は現地のネットワークを持っていません」という、販売体制の弱さ、つまり、現地販売ネットワークやパイプの弱さの証明だったのです。国内外を問わず、新規に販路を開拓するというのは容易ではありません。いくらこちらが提供する商品が良くても、力のない現地取引先が、突然ネットワークを広げることができるほど甘くはないというわけです。

海外販路開拓を目指す中小企業の現実

そうは言っても、相手からアプローチしてくるものを、みすみす断ることが最善かどうかは分かりません。上記はいくつかの事例の中の一つであって、本当にその取引先が強い販売力を持つかどうかは、実際には取引を開始してみなければ分からないからです。

ここが大企業と中小企業で大きく異なる部分かも知れません。事前の十分なフィージビリティスタディができたり、そもそも知名度がある企業同士で提携できたりする大企業と違い、中小企業は手探りの模索活動に頼らざるを得ない現実があります。

中小企業が取れるいくつかの対策

では中小企業の場合、全てを運に任せて良い取引先との出会いを待つ意外にないのかと言えば、決してそんなことはありません。

1.まず一つには、販売店契約によって取引先との提携期間を短く設定しておくと良いでしょう。半年ないし一年あれば、取引先の現地におけるプレゼンスの強さを量ることができます。その後、継続するかどうかをお互いに話合えば良いわけです。

2.極力、独占販売契約は避けた方が良いでしょう。相手に実力が見えないうちから他社との選択肢が絶たれるような契約は有利であるとは言えません。

もっとも、独占契約はある程度の販売数量にコミットするのが一般的ですので、相手側にとってもいきなり独占契約に踏み切るのは難しいとも言えます。

3.相手への十分なヒアリングを行いましょう。といっても相手としては自社に好都合な情報しか開示したがらないのが普通なので、どこまで情報が正確かの判断は難しいところがありますが、可能であるなら、過去の取引実績などについて、実名をあげてもらいながら、できるだけ詳しく説明してもらうのも手かも知れません。

ただし、これまでに私が見てきた事例からすると、やはり、動いてみなければ海外取引先の本当の実力は分からない、ということは言えます。この人数で本当にやるの?と思われた会社でかなりの台数を販売できたり、一方で、意欲満々でアプローチをしてきた会社が全く売れなかったり、ということが、本当にありました。

いわゆるマーケティング理論や想定していた戦術や思惑といったものが当てはまらず、むしろ意外なところから活路が開けるといったケースも少なくありません。その意味では、アプローチの仕方を限定せず、柔軟に取り組むことも大切です。

中小企業の海外取引先の開拓は、お気軽にグラビティまでご相談ください。

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