英文契約書の効力

英国へ輸出した製品がヒースロー空港で止まりました。フォワーダーがそれ以上仕事を進めるためには、顧客からそのフォワーダーが通関業務を行う代理人であることを示す書類を得なければ動けません。後日、現地での据付調整を控えたこの機械が空港で足止めされるのは、極めて重大な事態です。しかし相手側の担当者が誰なのか、明確な回答が得られないまま時間だけが過ぎていきます。

そこで相手先の担当へ向けて、次のようなメッセージを送ります。

  • 空港で荷物が停滞すれば、一日あたり、重量(キロ)あたりのチャージが発生する。
  • 陸送の手配もルート便でなくチャーター便となり、高額になる。
  • 据付調整に行った際に機械がなければ、再渡航しなければならず、高額な費用が発生する。
  • 相手側の生産工程が狂い、会社の信頼と利益に甚大な影響が出る。

そして決め手になるのは次のコメントです。

「御社との契約書には、我々は輸送時の遅延に対して一切責任を負わないことを明記している。もし遅延によって損害を生じれば、全て御社の責任と費用において対処しなければならない。したがって本日〇月〇日中に対応いただくことを強く推奨する。」

このメールによって、受け手の会社はたちまち動き出しました。

このように、相手に対して、絶対的に外せない期限を示した上で強いメッセージを発することは大切ですが、その前提として、販売者が不必要な損をしないよう契約書を仕込んでおく必要があります。

グラビティでは弁護士事務所と提携しており、クライアント様を守るべく多面的に活動します。英文契約書の作成は、そういった活動の一部です。関心のある方はご相談ください。

ウィスコンシンの小さな展示会

4月4日に米国の地方で開催された小規模の展示会から帰国し、本日の時点で既にその展示会で対話した顧客からの注文が2件決まっています。

(写真は滞在期間中に訪問したウィスコンシン州会議事堂です。展示会場ではありません。)

小学校の校庭ほどしかないホテル併設の展示会場で出会った潜在顧客が、数的にも質的にも大規模の国際展示場に勝っていたことに驚きを隠せません。私自身、国際展示会は多く経験していますが、名刺の数だけが多く、注文に直結しそうなビジター数は以外にも多くないことも少なくありません。

著名な国際展示会では観光まがいのビジターも多いですが、仮にこちらの製品に適合するビジターであっても、現場には詳しいのに一切決裁権を持たなかったり、決裁権は持つのに現場は全然知らなかったりして、出展物の本当の良さが受注に結びつかないケースがあります。またそういった国際展示会場では、自社にちょうど良い身の丈のあった製品よりも、世界的に見て突出した製品にのみ目が行きがちになるので、小規模の事業者にとっては難しい面もあります。

今回のローカル展示会では、現実的な目線で製品の導入と、それによる人件費の削減を計算できる中小企業の意思決定者との積極的な対話を多く持つことができました。

それだけではありません。この小さな展示会で、とある製品の生産量においては世界最大規模の企業がブースを訪問してくれて、製品を大変に気に入ってくれました。(過去に弊社ブログで案内した世界最大の企業とは別の企業です)。タラレバの話をしたらキリがありませんが、この顧客が製品を購入するとすれば、規模から考えて、一台であるはずがありません。

またこの展示会では、クライアント様の製品が受け入れられるいくつかの要因を分析することができました。どの国のマーケットを開拓するかを考えるとき、製品の機能、価格、といった目につきやすい要素の他に、経済的背景、文化的背景が大きく関与することをあらためて思い知らされました。関心のある方は、ご相談いただいた際に詳しくお話しさせていただきますが、同じ製品でも、ある国では全く受け入れられず、ある国では爆発的に受け入れられる、といったことが起こります。その見極めがうまく行けば、どこを攻めるべきかが見えてきます。そこが海外マーケティングの醍醐味なのかも知れません。

ところで、今回は半日ほどの空き時間ができたので、ウィスコンシンのマディソンにある、ウィスコンシン州会議事堂を訪問しました。海外出張は通常、短期間にイベントが詰め込まれていてこのような時間が取れることは少ないのですが、個人的には現地の文化に触れることは、とてつもない価値があると思っています。

たった一度、現地の代表的な場所を訪問するだけで、その後の現地の人達との話の弾み方が全く違ってきます。「どこぞの日本人」ではなく、自分たちの文化に歩み寄ろうとする海外からのアンバサダーになれるのです。

ウィスコンシン州会議事堂は外観も内部も威厳に満ちた建物です。建物の中には南北戦争の戦死者をたたえる碑のようなものがありました。帰国してから調べて分かったことですが、ウィスコンシン州は南北戦争の北軍に91,379名を送り出したとのこと。米国では、自由とは元来戦って勝ち取るもので、手放しで与えられるものではない。その意思と犠牲に対する敬意が深く根付いているように思います。

こうした訪問は、今日明日にどこかで役に立つわけではありませんが、人生をより味わい深くするのに役立ちます。こういったチャンスは多くはありませんが、この仕事の特権かも知れませんね。